老犬の病気に備える。知っておくべき4つの病気

老犬の4つの病気 老犬の病気

人は年老いてしまうと様々な病気にかかりやすくなりますが、老犬にも同じ傾向があります。

人も犬も同じ哺乳類の動物であり、生物学的な構造が似ていることから高齢になると同じような形で臓器の老化が起こって病気にかかりやすくなるのです。

老犬がかかりやすい病気として代表的なものが四つありますが、そのどれもが人の場合にも高齢者になるとかかりやすくなるということでよく問題になっています。

ガンは、日頃から老犬との触れ合いが大切

ガンは人の場合には死因として最も多いとされるものですが、犬の場合でも同様に亡くなってしまう際に罹患していることがよくある病気です。

腫瘍のうちでも悪性のものをガンと呼んでいますが、発生すると基本的には異常増殖を起こしていき、臓器の機能不全が起こって最終的には死に至ってしまいます。

ガンの発見はガンが発生した臓器の機能不全がきっかけになることが多いのが特徴です。

皮膚がんや口腔腫瘍などの場合には視認できて発見できる場合もありますが、消化器系や生殖器系、血液系などのガンの場合には発見が遅れてしまいがちです。

犬は自分からガンだという主張をすることはできないので、飼い主さんが様子をよく見てガンの可能性を疑うことが必要になります。

口や舌、皮膚などに傷やしこり、ただれ、膿などが目立つようになったり、体臭や口臭、糞尿の臭いが強くなったりするのは代表的な症状です。

歩き方が不自然になったり、食事をしているのに痩せてきてしまったりしているのもガンが原因である場合があるので、病院に連れて行って検査を受けることが大切です。

早期発見、早期治療を行えば長く生きられることがよくあります。

適応される治療方法はほとんどが外科手術によるガンの腫瘍の除去です。

食事の内容や紫外線、ストレス、運動不足などの様々な原因があってガンが発症するリスクがあるので完全な形で予防するのは難しく、老齢になってきたら飼い主さんがよく観察をして早期発見に努めることが必要になります。

心臓病は、早期に発見し、病気と付き合っていくことが重要

心臓病も老犬に多い病気の一つとして知られています。

心臓の機能不全を起こす様々な疾患がありますが、代表的なのは僧帽弁閉鎖不全症、心筋症、心不全の三つです。特に小型犬で頻繁に発症しているのが僧帽弁閉鎖不全症であり、7割以上の小型犬が老齢期になると発症するという統計があります。

これは心臓から全身に血液を送り出す左心房と左心室の間にある僧帽弁が機能異常を起こしてしまい、血液の逆流が起こるようになる病気です。

症状としては呼吸困難が最も初期に見られ、進行すると失神を起こしてしまう場合もあります。

心筋症は大型犬に多い病気であり、心筋の機能が低下することで心臓のポンプとしての役割が正常に果たせなくなってしまう病気です。

種類として拡張型、肥大型、拘束型の三種類がありますが、どの場合にも初期症状が見分けづらくなっています。

疲れやすさが最初に症状として出てきますが、進行すると僧帽弁閉鎖不全症と同様に呼吸困難を引き起こし、さらに進行すると失神を起こすようになるのが一般的です。

一方、心不全については様々な原因で心臓の機能が低下してしまう病気であり、通常は簡単に治療することができません。

疲れやすさの初期症状から始まり、呼吸困難を伴うようになるのは他の心臓病と同じ傾向です。

このような心臓病にかかってしまったと疑われたときには病院で検査を受けると速やかに診断してもらうことができます。

症状が深刻な場合には手術適用で治療することもできますが、うまく症状と付き合っていける生活の仕方を選びつつ、心臓を労るようにして病気の進行を止める方法が選ばれているのが一般的です。

白内障は、治療で進行を遅らせることができる

白内障は人の高齢者にも多い病気となっていますが、老犬の場合には発症率がより高いとされている病気です。

目の器官の一つである水晶体が白濁してしまう病気であり、種類によっては先天的にかかりやすいこともあるので注意しなければなりません。

白内障の発症原因については未だに明確になっていないことから予防をするのは難しいですが、症状が出てきたことは飼い主さんの目からも比較的容易に判断できます。

視力がやや低下してもやもやとした様子でしか前が見えなくなるため、歩行困難の症状が出るためです。

少しよろめくようになったり、ボール投げをすると見失うようになったり、ボールをくわえるのに何度もくわえようとする動作をしなければならなくなったりします。

ただ、このような症状が出てきてしまったときには既にかなり進行している状況です。

犬は嗅覚や触覚を利用することで行動する力を持っているので、やや白内障の症状が出始めたという程度では見た目ではほとんど変わらない様子で行動することができます。

初期に発見して治療を始めれば行動に支障が生じない段階で進行を遅らせることができるので、高齢になってきたら目の観察を定期的に行うのが効果的です。

水晶体の白濁は最も症状の判断として適しているものであり、黒目をじっと見て白いものがあるように見えたら病院に行くという判断をすれば問題ありません。

初期症状であれば薬による治療で進行を止められるので老齢期にかかったら飼い主さんが自分で症状の観察を行うのが肝心です。

認知症は、進行を制御するため、日頃から脳を使わせる

認知症は犬でも発症する病気です。

認知力や記憶力などの脳の機能が全般的に低下してしまうことによって多様な症状が生じてきます。

飼い主さんが様子を観察して認知症の可能性があるかどうかを判断することが可能です。

感性が良い飼い主さんが真っ先に気づくのが応答の遅れであり、何か声をかけたり、ボールを投げたりしたときにワンタイミング遅れて反応するようになります。

この状況から進行すると狭いところを好むようになったり、あまり動くことを好まなくなったりしてくるのが一般的な傾向です。

さらに症状が悪化してくると徘徊をするようになったり、突然興奮状態になって落ち着かせることができなくなったりします。

この段階になってしまうと生じる症状はケースバイケースで、ひたすら同じ行動を繰り返し行うようになる場合もあれば、食欲旺盛になって食べているのに太らなくなったり、言うことを聞かなくなったりしてくる場合もあるので注意が必要です。

このような症状が出ると明らかにおかしいという印象を受けて病院に行こうという判断もできるようになりますが、初期に発見して対策を建てることが重要になります。

治療法が確立されていないため、進行を抑制させられるように努力を重ねる必要があるからです。

認知症の進行を抑制するには脳を使わせることが重要なので、散歩や運動などの習慣を作ることがまず大切です。

また、ルーチンとして行わないように心がけ、散歩道を変更したり、毎日違う運動をすると効果的です。

また、脳機能の向上に寄与するとされるDHAやEPAをサプリメントによって補給するという食事療法もしばしば行われています。

このような対策をして進行を止めることこそが認知症対策として欠かせません。