一緒に散歩するのを楽しみに、子犬を飼い始めたという人も多いのではないでしょうか。
そんなときに気になってくるのがワクチンです。病気を避けることを第一に考えれば、ワクチン接種をしっかり終えてからお散歩デビューするのが安心というもの。
しかし一方で子犬の社会性を育むためには、もっと早い段階で外に出すことが重要だとも言われています。
ここでは、ワクチンの種類や費用の他、ワクチンと散歩の関係についても解説しています。
目次
子犬のワクチン接種とは?
犬には、感染力が強い、発症すると重症化する、後遺症が残るといった怖い病気がたくさんあります。
こうした病気に対し、予め免疫力を付けておくのがワクチンです。自然下では、母親のお腹にいるときに胎盤を通して、あるいは初乳を飲むことで親から子に免疫が移行します。
犬の場合は9割以上の抗体を初乳からもらっているのです。
しかしこの抗体も、8~12週齢にはかなり弱まってしまうため、それ以降は自ら抗体を作り出さなければなりません。
抗体を作るためには一度その病気にかかる必要があるのですが、その代役を務めてくれるのがワクチンです。
ワクチンは毒性を弱めた、あるいは死滅させた病原体やその1部で、それをわざと体にいれることで、病気への耐性を付けるのです。
子犬のワクチンの種類と費用は?
犬のワクチンは、法律で接種が義務付けられているワクチンと、任意で接種するものの2種類
犬のワクチンには、法律で接種が義務付けられているものと、任意で接種するものの2種類があります。
法律で義務付けられているのが狂犬病ワクチンです。
狂犬病は犬や人だけではなく、哺乳類すべてに感染し、有効な治療法もなく、発症すれば100パーセント死に至ります。
日本では3ヶ月齢以降の全ての犬に対し、1年に1回、4月から6月の間に狂犬病ワクチン接種が義務付けられています。
動物病院で受けられるほか、各自治体によって保健所や自治会館などで集団接種が開催されています。
費用は2,500~3,000円程。ワクチン接種の証明書の発行手数料が550円です。
子犬には、混合ワクチンを接種させるべき
任意で接種するワクチンの1つに、コアワクチンがあります。
これは生活環境に関わらず、全ての犬が接種すべきであると考えられているワクチンです。
対象となるジステンパーウイルス感染症やパルボウイルス感染症は、世界中で発生が認められている病気で、犬がこれらの病気にかかると重篤な症状を起こします。
混合ワクチンには様々な種類がありますが、日本で一般的なのは5~8種です。
価格は動物病院によって異なりますが、5~6種の場合は5,000~7,000円程、7~8種の場合は6,000~9,000円程のところが多いようです。
事前に確認しておくといいでしょう。
この他、地理的要因やライフスタイルによって特定の感染症にリスクがある場合接種する、ノンコアワクチンという種類もあります。
子犬のコアワクチンプログラム(接種法)とは?
母犬から受け取った抗体が減ってきた子犬は、病気にかからないようにするためワクチンを接種する必要があります。
しかし母犬から受け取った抗体が残っているときに接種を受けても、効果が得られないということが多いのです。
タイミングは個体差があるため特定は不可能、そのため、子犬は数回に分けてワクチン接種を受ける必要があります。
これが子犬のコアワクチンプログラム(接種法)です。
1回目のワクチンは8週齢後、2回目はその3~4週間後(12週齢後)、3回目は2回目の3~4週間後(16週齢後)となります。
母犬からの抗体が早く切れることを考えてもう少し早くスタートする場合もあります。
また、3回目の接種から1年後に、いずれかの免疫が付いていない可能性がある場合はブースターワクチンを接種します。
子犬はワクチンを済ませるまで散歩を控える
子犬を病気から守るためには、3回目のワクチンが終了するまで、つまり16週齢になるまで散歩は控えた方がいいと言われます。
その一方で問題になるのが犬の社会化です。これは犬がいろいろな刺激に慣れることができる期間のことで、生後4~13週齢頃を指します。
つまり3回目のワクチンが終わるのを待っていると、社会化期が終わってしまい、警戒心や不安を感じやすい犬になってしまうのです。
ストレスを感じにくい性格に育てるためには、早めに外の環境に慣れさせることが不可欠と言えます。
最近では3回目が終わるまでは抱っこ散歩、という人が多いです。
地面に下さなければ感染症リスクを大きく下げることができ、かつ生活に伴う様々な刺激が安全なものだと認識できるようになります。
パピークラスに参加することも、犬の社会性を育むいい機会になります。
最終的にいつお散歩デビューするかは、飼い主が責任を持って決めることが重要です。
もちろん獣医さんに相談し、納得のいくデビューを迎えられるようにしましょう。
子犬にワクチンを打ってから抗体が生産させるまで1〜2週間かかる
ワクチンは打てばすぐ効果が現れるものではありません。
抗体が生産されるようになるまでは1~2週間かかると言われているため、すぐさま遠出をしたり犬の集団に入れないように気を付けましょう。
その一方で、ワクチン終了まで犬を外に出さないことは、犬の社会性を育む上で大きな妨げになってしまいます。
抱っこ散歩をしたり、パピークラスに参加するなどして、愛犬を感染症から守りながら、社会性を育めるように工夫することが重要になります。