近年、飼い犬の平均寿命は長くなっており、それと共に犬の老いに直面したり老犬と過ごす飼い主も増えてきています。
いつまでも元気に過ごしてほしい、長生きしてできるだけたくさん一緒にいたいというのは、犬の飼い主のみなさんに共通する願いなのではないでしょうか。
犬が長生きできるようにするには、病気の予防が大切です。
そして、毎日の食事は犬の健康管理をしていくうえで、とても大きなポイントです。歳をとった老犬には、その体に適した食事が必要です。
飼い主はどんなことに気をつけていけば良いのでしょうか。
老犬になると食欲が低下し、食事の量が減る
まず、犬は年老いてくると体にどんな変化があるのでしょうか。犬も人と同じで、歳をとると体の様々な能力が低下していきます。
食欲旺盛な子犬や成犬に比べて、老犬は食欲不振になってしまうことがあります。
一般的に6〜7歳を過ぎ、老犬に差し掛かってくるころに変化が起きる場合が多いでしょう。
特定の病気になっていない健康な犬でも、味覚や嗅覚の低下、歯のトラブル、飲み込む力(嚥下機能)の低下、消化機能の低下などによって食欲自体が低下していきます。
犬の食の好みが変わってくることもあります。運動量や代謝が落ちるので、必要な摂取カロリーも少なくなります。
このように、老犬の様々な体の変化に合わせて食事も変えていく必要があります。老犬の衰えた機能の部分を、うまくサポートしてあげましょう。
老犬用のドッグフードに変えてみよう
老犬の食事を見直すとき、簡単な方法はライフステージに合わせたドックフードを選ぶことです。
普段から市販のフードを利用している場合、お店で老犬用のフードを目にしたこともあるでしょう。
そろそろかな?と思ったら、試してみると良いかもしれません。
老犬の体に合わせて、必要な栄養がバランスよく配合されています。
フードを変える時には、いきなり全部変えてしまうのではなく、食べ具合や便の様子を見ながら、少しずつ切り替えるようにしていきましょう。
老犬は急激な変化にも弱くなっているので注意してください。
また、犬種によってそれぞれかかりやすい病気の特徴があり、それを予防するために適したフードも販売されています。
心配があるときは、かかりつけの獣医に相談してみるのも良いでしょう。
歯が悪くなったり、飲み込む力が弱くなり、これまでのフードを食べにくそうにしている時や、吐いてしまう時はフードの形態や柔らかさを考えるべきかもしれません。
ドライフードより柔らかい半生タイプや崩したフードもあります。お湯などでふやかすと食べられる場合もあります。
老犬が喜ぶ手作りの食事を与えてみよう
老犬用に市販されているフード以外で、手作りの食事を与える方法もあります。
手作りの食事だと好んでたくさん食べてくれることもあります。手作りというと難しく考えがちですが、意外と簡単にできます。
人間の食事作りの時に使う食材で、味付けをする前に取り分けておけば、犬にも与えることが出来ますよ。
毎日ではなくても、時間がある日や休日に取り入れてみるのも良いでしょう。
すべて、いきなり手作りの食事にするのは手間もかかるし、犬も驚くことがあります。
そのような場合は、普段のフードにかけてトッピングにしたり、おやつとして与えるのがオススメです。
タンパク質やビタミンを多く含む食材を茹で、細かく刻んでフードにそえてみましょう。
豆腐やヨーグルトなどの柔らかく口当たりの良い食材を混ぜても食べやすくなります。
おやつの場合も少しずつ与えて、おいしい・安全なものだと分かってもらえるようにします。
手作りの食材に慣れてきたら、栄養価の高いささみやレバーと緑黄色野菜などを混ぜて肉団子状にしたり、食材を煮込んでスープにするなどレパートリーを増やしていきます。
犬の好みをみながら色々と試してみましょう。犬は熱いものは苦手なのでひと肌程度に冷まして与えてください。
肉類は飲み込みやすいように細かく崩すなどの工夫も必要です。
野菜などを細かく刻むときは、フードプロセッサーを使うと簡単です。
なるべく早めに食べきるようにしますが、多めに作ったときは、ジップロックなどに入れて冷凍保存することもできます。
老犬に食べさせてはいけない食材に注意
手作りの食事を与える時は、犬に食べさせてはいけない食材に注意しましょう。
人間にとっては問題ないものでも犬にとっては毒となってしまうことがあります。
まず、絶対に与えてはいけないのがネギ類、チョコレート、キシリトール、アワビやサザエなどです。
ネギに含まれるアリルプロピルジスルファイドという成分は犬の赤血球を破壊し、貧血を起こしてしまいます。
ネギ類は人間の食事では頻繁に使いますが、取り分けをする場合などは特に注意してください。一緒に煮込んだ野菜なども成分が含まれているので与えてはいけません。
その他に注意が必要な食材もあります。
ぶどうはまれに中毒症状を起こすことがあるので避けておいた方が安心です。
青魚は栄養価が高いのですが、毎日与えると摂取しすぎてしまい「黄色脂肪症」という病気を起こしてしまうことがあります。与える場合は週に1~2回程度にしておきましょう。
たこやイカ、貝類などは生の場合、消化不良を起こすことがあります。
しっかり加熱し細かく切って与えましょう。
パン類は好んで食べようとしますが、砂糖やバターなどが多く含まれているので犬には向きません。
おやつは犬用のものを与えましょう。
加熱した骨などは、尖っているので喉や消化器官を傷つけてしまう場合があるので注意してください。
以上が、犬に与えてはいけない・注意が必要な主な食材ですが、他のものも様子を見ながら与えるようにします。同じものを大量に偏って与えることもやめましょう。
また、犬が病気を持っていて、動物病院などから勧められた処方食を食べている場合は、食事に関して必ず獣医に相談するようにしましょう。
犬は大切な家族の一員であり、人生のパートナーでもあります。
犬の老いを感じる時、病気になってしまわないか、長生きできるのか不安に駆られてしまうことがありますよね。
しかし大切なのは、飼い主がしっかりと犬の今の状態を理解したうえで、健康づくりをしていくことです。日々の食事が犬の健康の源でもあります。
大切な犬と、一緒に毎日を歩んでください。