白内障になった老犬の介護で注意することは?

老犬の白内障 老犬の介護

犬の目は、耳の次に衰えやすい器官だと言われています。

あまり視覚には頼っていないと言われている犬でも、やはり目が見えなくなるといろいろな支障が出てきます。

どんな犬も例外ではありません。苦楽を共にしてきた大切な愛犬です。

目が見えなくなるとどのような行動を取るのか、飼い主としてどのようなことに気を付ければいいのか、予め知っておくことが必要です。

老犬の目が見えなくなってきたとこのサインは?

まず、目が見えなくなってきたときのサインを知りましょう。

物にぶつかりやすくなったり、走らなくなった、以前より臆病になった、などの変化が起きたら、それは目が見えなくなってきたサインかもしれません。

また、見えない不安からよく吠えるようになったり、飼い主への依存度が高くなることもあります。

よく気を配り、できるだけ早く気付いてあげることが必要です。

白内障の治療方法は?

犬の目が見えなくなる理由も知っておきましょう。

代表的な原因として白内障、緑内障、そして外傷による失明の3つが挙げられます。

白内障は目の水晶体が濁って視力が低下する病気です。

病気が進行すると失明する可能性が高くなりますが、早期発見、早期治療を心がけることで病気の進行を抑えることができます。

これは老犬の場合も同じで、目薬や内服薬による治療をすることも可能です。

とはいえ、犬の白内障は早期発見が難しいと言われています。

初期症状では犬の行動にあまり支障が出ないため、飼い主がなかなか気付けないのです。

高齢になった愛犬の健康チェックは欠かせませんが、その際に目の状態を確認することが必要になります。

緑内障の治療方法は?

次に緑内障です。

緑内障は眼圧が上って視神経を圧迫、視力や視野が衰えたりする病気です。

放っておくと失明する可能性があります。

緑内障は治療しても回復することがなく、治療の目的は病気の進行を抑えることにあります。

そのためにはやはり早期発見が重要になります。

病気の発見の鍵になるのが、愛犬の行動です。

緑内障にかかると強い痛みが出るので、目をしょぼつかせたり元気をなくしてうずくまったりします。

目のものにも結膜炎や充血、うっ血と言った症状が出るので、気付いたらすぐ獣医さんに相談するようにしてください。

眼球が傷つき、細菌やウイルスに感染する可能性もある。

老犬の目が見えなくなる原因として、意外に見落としがちなのが外傷によるものです。

顔をこすりつけたり何かの角に顔をぶつけたりすると、眼球に傷が付いてしまうことがあるのです。

その傷自体が原因で失明することはまずありませんが、そこから細菌やウイルスが入り込んだ結果、目の病気を発症してしまうことがあるのです。

犬は、見えないことに順応していく。

では、具体的に視力を失っていく愛犬を、どう見守ってあげればいいのでしょうか。

人間にとって視力を失うことは生活に大きな支障をきたします。

しかし犬の場合、見えないことに順応していくものです。

目が見えなくなってもトイレや寝床の場所を匂いで感じ、記憶している位置関係と照らし合わせて行動するからです。

特に老犬は眠っている時間が長く、日に何回かトイレと食事を行うだけの生活になります。

それ故に見えないことから生じる不都合も少ないのです。

とはいえ、だからと言って飼い主が何もしなくて良いという訳ではありません。

まず愛犬の視力が落ちてきたと感じたら、目が見えなくなっても暮らしやすい環境を整えてあげる必要があります。

いくら犬の嗅覚が優れているとはいえ、目が見えない分行動は制限されています。

散らかった部屋では物にぶつかりやすくなるので、出来るだけ整理整頓を心がけてあげましょう。

段差があるところはスロープをつけてあげると、危険を取り除くことができます。

トイレと寝床、食事をする場所を近くに配置することが重要

見えるうちからトイレと寝床、食事をする場所を近くに配置することも重要です。

これらの場所が広く複雑な範囲に散らばっていると、それだけ移動が難しくなります。

まだ目が見えるうちから場所を固定してあげると、愛犬への負担を減らすことができますし、できるだけ長い間自立して行動することが可能になります。

症状が進んで目が見えなくなってしまったら、できるだけこれまでと環境を変えることなく過ごさせてあげることが大切です。

犬は家の構造や家具の配置を感覚で理解しています。

つまりこれらを急に変更してしまうと、急に知らない場所に放り出されたような気持ちになり、余計に見えないことに対してのストレスがかかります。

模様替えはしないようにし、やむを得ない事情を除いて引越しも避けてあげてください。

目が見えない状態で急に触られると、びっくりしてしまう。

コミュニケーション方法についても、工夫が必要です。

目が見えない状態で急に触られると、いくら相手が飼い主であってもびっくりします。

そのため、急に触るのではなく、まず床や手を叩いて近くに自分がいることを知らせ、それから触るようにしましょう。

ただし視力と一緒に聴力も衰えてしまっている場合は、この方法は使えません。

そのときは匂いを利用しましょう。

飼い主の匂いをかがせて安心させてから触るようにすれば、愛犬を驚かすことはなくなるでしょう。

視力が弱まると、よく吠えるようになることがある。

目が見えなくなったことで、よく吠えるようになることもあります。

これは視力が衰えたことによる不安からくる行動です。

安心させてあげるには飼い主の存在を感じさせてあげることが大切。

側に寄ったり抱き上げたりして、少しでも不安な気持ちを取り除いてあげてください。

もちろん、そのときは急に触らないように注意すること。

四六時中ずっと側にいることが難しい場合は、飼い主の匂いが付いた毛布などを利用することもできます。

目が見えなくても、散歩に連れて行ってあげましょう。

見えないからと言って閉じこもりきりになるのはおすすめしません。

散歩には連れて行ってあげましょう。

その際は介護用のハーネスなどを上手く利用して転ばないように助けてあげることが必要です。

中には不安から外に出たがらない犬もいますが、その場合は無理に散歩に連れ出さず、抱っこしたり専用の車いすを利用するといいでしょう。

歩かずとも、自然の匂いを感じるだけで楽しめますし、元気がでるものです。

愛犬の目が見えなくなると、飼い主としてもどうすればいいのか分からなくなって迷ったり不安に感じたりするものです。

しかし愛犬はもっと不安になっています。

飼い主としての心配りを忘れないようにして、愛犬の不安を取り除いてあげましょう。